サントリー サンゴリアス |
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29 |
合計 |
20 |
9 |
前半 |
10 |
20 |
後半 |
10 |
4 |
勝点 |
0 |
25 |
総勝点 |
19 |
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神戸製鋼 コベルコスティーラーズ |
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サントリーサンゴリアス 29-20 神戸製鋼コベルコスティーラーズ
ファーストステージ・第6節 プールA
2013年10月20日(日)13:00キックオフ/神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場
先週は30℃を超す記録的な暑さだったが、10月20日(日)の今日は秋冷と降雨で気温17℃、コンディション調整が難しい中、ニッパツ三ツ沢球技場で、トップリーグ1stステージ第6節、昨年の覇者サントリーサンゴリアスと神戸製鋼コベルコスティーラーズの試合が行われた。今回も、前座試合として小学校2年生による県内ラグビースクール及びタグラグビーチームの前座試合が行われ、雨の中でのミニラガー選手の元気一杯なプレーに、スタンドからも大声援が送られていた。
前座試合の後、ますます雨が強くなる中、いよいよサントリーと神戸製鋼の戦いが始まる。
昨シーズンは最終節で戦い、神鋼は残り5分で32-28と逆転されプレーオフ進出を逃すという悔しい思いをしている。今シーズン、神鋼は前節でトヨタ自動車ヴェルブリッツに完敗しているもののプールA3位を維持し2ndステージ進出には負けられない一戦である。
一方、サントリーはNECグリーンロケッツに僅差で敗れたものの豊田自動織機シャトルズに競り勝ち、この試合に勝って2ndステージグループA進出を決めたいところ。降雨でスリッピーなコンディションの中、両チームともボールプレーのミスをしない事とブレイクダウンの主導権争いを軸に、激しい戦いが予想された。試合前に、サントリーはFL佐々木隆道から急遽仲宗根健太に変更をした。仲宗根はトップリーグデビューとなる。また、神戸製鋼も山中亮平選手がSOとして先発し、両選手の活躍も注目された。
13時ちょうどに神戸製鋼SO山中のキックオフで試合開始。開始早々3分。サントリーゴール前22m中央でPGを得た神戸製鋼が山中のPG成功して3点先取。その後、神戸製鋼が押し気味に試合を進めるが、サントリーのディフェンスも堅くゴール前まで攻めるもトライできない。22分、神戸製鋼前22m中央付近でのPGをサントリーCTBニコラス ライアンが決めて同点に追いつく。
31分には神戸製鋼ゴール前22m中央で得たPGをCTBニコラスが決めて6-3と逆転する。しかし、35分、神戸製鋼自陣からサントリー陣内に攻め込み、最後はゴール左に展開しCTBジャック・フーリーがフォローしてこの試合初トライを奪う。SO山中のゴール成功して6-10と逆転する。しかし、40分のホーンがなった瞬間、神戸製鋼ゴール前22m中央付近に攻め込んだラックからFB有賀剛が見事なDGを成功させて9-10として前半が終了した。
後半開始4分サントリーFL仲宗根が神戸製鋼ゴール前のラックサイドをフォローして中央にトップリーグ最初のトライをあげる。CTBニコラスのゴールも成功して16-10と再逆転。しかし、神戸製鋼の勢いもありサントリー陣内での試合が続くが9分、サントリー陣22m中央付近で得たPGを山中が決めて16-13と迫る。
17分、神戸製鋼陣10m中央付近で得たPGをサントリーCTBニコラスが成功し19-13と差を広げる。しかし、23分、サントリーゴール前のPKに素早く反応した神戸製鋼FL前川鐘平が3人のディフェンスをものともせずパワープレーでトライをあげる。SO山中のゴールも決まり19-20と再逆転。スタンドの神戸製鋼のファンからも勝利に向けて残り17分、大声援が上がる。
しかし、31分、神戸製鋼22m中央で手痛い反則を犯しサントリーCTBニコラスのPGが成功してサントリーが22-20と逆転するシーソーゲームになった。残り10分でどうなるか、降りしきる雨の中、両チームのファンも雨を耐えながら、固唾をのんで試合の行く末を見守る。
35分、神戸製鋼がサントリー陣10m中央付近まで攻め込みモールからSO山中が痛恨のノックオン。サントリーはそのボールを見逃さず展開、最後はSH日和佐篤が30m走って左隅にトライ。CTBニコラスの難しい位置でのゴールも成功して29-20とリードを広げた。
神鋼にとっては残り5分で9点差は厳しい点差であるが、それでも必死にサントリーのゴールに迫る。しかし、最後はターンオーバーされたボールからサントリーが神鋼陣内に攻め込みPKを奪った所でホーンが鳴る。最後は、そのボールをタッチに蹴り出してノーサイドとなった。雨中の決戦はワンチャンスをものにしたサントリーに軍配が上がった。
この試合、神戸製鋼のSO山中、サントリーFL仲宗根の活躍も注目された。初トライを上げた仲宗根は神奈川出身の選手、桐蔭学園高時代には秋田国体優勝の経験もあり神奈川開催での初出場、初トライは彼自身にとっても嬉しい事であろう。一方、得点に結びつけるミスをした山中選手はこの経験を糧として今後も正確なキックとチャンスメイクできるセンスでさらなる活躍を期待したい。マン・オブ・ザ・マッチは前半の終了間際のDGと、たびたび相手キックのターンオーバーでチャンスを作ったサントリーのFB有賀剛が獲得した。
雨量が1時間20mmを超す悪いコンディションの中、神戸製鋼の気迫あるプレー、サントリーの一瞬のチャンスを生かすプレーもあり素晴らしい試合内容であった。このような天気にもかかわらずニッパツ三ツ沢球技場を訪れた3087名の観客の皆様にも満足して頂けたに違いない。最後は両チームの選手にあたたかい拍手を送っていた。
● 記者会見ダイジェスト ●
神戸製鋼コベルコスティーラーズ

苑田右二ヘッドコーチ(右)、伊藤鐘史ゲームキャプテン
苑田右二ヘッドコーチ
「本日は悪天候にもかかわらず沢山の方に観ていただき、ありがとうございました。試合ではサントリーよりアグレッシブに攻撃を仕掛けるようにしましたが、結果的に9点差で負けて残念です。次戦で5ポイントを獲得してセカンドステージに進みたいと考えています」
伊藤鐘史ゲームキャプテン
「フォワードはピックアンドゴーをきっちりとやり、練習してきたことができました。次に向けて気持ちを切り替えて準備していきたいと思います」
──スタンドオフに山中選手を初めて起用した狙いは?
苑田ヘッドコーチ
「トヨタ自動車戦の負けを踏まえて、練習中からアグレッシブな選手の起用を行いました。ミスはありましたが、初めての先発にもかかわらず頑張ったと思います。次につなげていって欲しいと思います」
──敗因は何だったと思われますか?
苑田ヘッドコーチ
「ディシプリンとミスでしょう。イエローカードで人数を減らしたのも痛かったと思います。しかしながら、粘ってチーム全体がきっちりとやっていくプライドを感じました。セカンドステージ(グループAへの)進出はぜひ決めたいと思います」
──前半は相手陣内に入っている時間が長かったにもかかわらず得点できていない点はどう思いますか?
苑田ヘッドコーチ
「2回チャンスがありましたが、サントリーは簡単に取れる相手ではありません。しかし、選手たちがやるべきことを体現できたことは収穫でした」
──ミスが多かったと思いますが、その原因は何でしたか。
伊藤ゲームキャプテン
「フォワードは近いところで崩して相手を寄らせ、そこを外に振る方針で臨みましたが、パスが長くなるにつれて、悪天候でミスが出ました。しかしながら、これらのミスは攻めた結果と考えています」
──サントリーとは昨年の日本選手権以来の対戦でしたが、対戦した印象はどうでしたか?
苑田ヘッドコーチ
「準備は今日のほうがよかったと思います。コンタクトはフィジカルでより強くないと神戸製鋼の強みがありません。その点で自分たちは成長してきたと思います」
──県内のチビッコラガーにコメントお願いします。
伊藤ゲームキャプテン
「日本のラグビー底上げのために、是非とも続けてもらいたいと思います。トップリーグで待っています」

サントリーサンゴリアス

大久保直弥監督(右)、真壁伸弥キャプテン
大久保直弥監督
「今日は雨の中、沢山のファンの方に観ていただいてうれしく思います。ゲーム内容は後に触れるとして、仲宗根をスタメンに起用しましたが、厳しい状況の中、信じたことを試合でやってきたのは評価したいと思います。若い選手の力がチームにとって最も大切です」
真壁伸弥キャプテン
「体の大きい神戸製鋼にフォワードが勝負所で我慢でき、レベルアップしてきたと思います」
──佐々木選手の状態はどうでしょうか。また仲宗根選手への評価はどうでしょうか?
大久保監督
「佐々木選手については腰を痛めています。疲労の蓄積からくる腰の痛みですが、今後についてはまだ分かりません。仲宗根選手は、昨日もハードなトレーニング後さらに4~5kmを走っている中、タフな動きができたと思います。もともとバックスですが、ハードトレーニングを積んできましたので、今日は自信を持って送り出しました」
──ハーフタイムでは選手にどのような指示を出しましたか?
大久保監督
「前半は風下で雨の中、フォワードはフィジカルな局面ではファイトするようにしてきましたが、理想的な形で終わりました。後半は風上となりますので、攻め急がずにじっくりといくようにしました。仲宗根のトライで攻撃の流れが作れてよかったと思います」
──仲宗根のトライを見ているとラグビーへの理解度が非常に高いと思われますが、いかがでしょうか?
大久保監督
「シェイプに関してはサントリーの強みです。誰か一人に依存していてはアタックはできません。誰が出てもサントリーのラグビーができます」
──シーズン開始前は、プールAは厳しい試合が多いとの見方が多かったと思いますが、振り返っていかがですか?
大久保監督
「今日の佐々木選手のようなアクシデントもある中、若い選手達はタフなゲームができています。世代交代は進んでいますが、シニアメンバーがよくなっていく上でも、若手選手は必要な存在となっており、サントリーのチームワークを作り出していっていると思います。今後はハングリーさをもっと引き出して、チームとして強くなっていきたいと考えています。
──エディー・ジョーンズ氏のことはチームで話していますか? また、監督ご自身どう考えていますか?
大久保監督
「エディーの件は非常に驚きました。4年前になりますが、アグレッシブ・アタッキングラグビーの生みの親です。今日は彼の意志を引き継ぎ、勝負へのこだわりを伝えていくようにしました。今後もアグレッシブなアタックの姿勢でハードなラグビーを続けていきます」
真壁キャプテン
「驚きましたが、選手としては教えてくれたことをしっかり出していくようにしました。これからはハードトレーニングを行ってしっかり戦っていくことが、彼に対してできることであると考えています」
──ラインアウトで苦しんだのは天候のためでしょうか。スクラムも押せるときとそうでないときの差が激しかったように思えましたが、いかがでしょうか?
真壁キャプテン
「ラインアウトの乱れは天候のためです。逆に、天候がこうであればもっとシンプルな形にすべきだったかと思っています。スクラムは、相手は体重のある神戸製鋼でしたので、プロップの取り合いの部分での勝負がスクラム全体に影響したかもしれません。
──県内のチビッコラガーへのメッセージをお願いします。
真壁キャプテン
「今日の前座試合を見ていると、この悪天候の中でも楽しそうにやっていたので、今後が楽しみです。ラグビーを楽しんで、トップリーグにも来てほしいと思います」




マン・オブ・ザ・マッチはサントリーサンゴリアス、有賀剛選手
●試合後のアフターマッチファンクションの様子
記者会見終了後、同競技場内でアフターマッチファンクションが開催されました。神戸製鋼ファンクラブの方も参加して終始和やかな雰囲気でお互いの健闘を讃え合い、選手同士も含め親睦を図っていました。
(神奈川県協会広報 勝又 修)
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