Honda HEAT 16-30 福岡サニックスブルース
トップチャレンジ1・第3節
2014年1月26日(日)14:00キックオフ/大阪・近鉄花園ラグビー場
トップチャレンジ1の最終戦は全勝同士の対戦。ホンダヒートは2011-2012シーズン以来の、福岡サニックスブルースは一年でトップリーグ復帰を目指し、自動昇格を賭け勝利を収めたい一戦が開始される。
スコアボード上のチームフラッグが真横にたなびく冷たく強い北風の近鉄花園ラグビー場、福岡サニックス風下からのキックオフで前半が開始された。
福岡サニックスは、ホンダのキックオフのボール処理にも助けられ、いきなりホンダ陣内での攻撃が続き、3分に10番SO田代宙士が着実にPGを決め0-3と試合が動き始める。
この後も福岡サニックスはオフロードパス・ロングパス・デコイランなどでホンダのタックルポイントをずらしながら常に攻撃で優位な状況を作り、7分にタッチキックのチャージからのこぼれ球を2番HO永下安武が左中間にトライ(ゴール)、0-10と点差を拡げる。
ホンダは14分に、サニックス陣内10mL中央で得たオーバー・ザ・トップの反則に10番SO古屋孝広が強風を活かしPGを決め3-10と食い下がる。ホンダはこの直後、16分にもゴール前ラインアウトからモールでのトライを狙うがオブストラクションの反則で得点の機会を失う。この後、両チームとも互いに1PGずつ加え6-13で前半を終える。
後半風上の福岡サニックスは、22番カーン・ヘスケス、ベテラン23番松園正隆を投入。この入れ替えが功を奏し、1分ハーフウェイ右中間ラックから左展開、22番ヘスケスがラインブレイク、11番左WTB屋宜ベンジャミンレイがライン際を走り中央にトライ、ゴールも決め6-20とする。
ホンダも5分に福岡サニックスの反則からPGを返し9-20と点差を詰める。また、後半からはタックルポイントが定まり徐々に福岡サニックスの攻撃に耐え、13分に福岡サニックス陣内ゴール前5mで得た反則でスクラムを選択。スクラムトライかと思われた瞬間にライン展開、11番左WTB生方信孝がポスト左にトライ、ゴールも決まり16-20と4点差に詰め寄る。
中盤、ホンダはあくまで勝利を目指し冷静に試合を運ぶが得点の機会は得られない。
福岡サニックスも焦ることなく終盤の29分、ホンダのオフサイドの反則に22mL中央からPGを決め16-23と1トライ・1ゴール差にする。この後も風上の利を活かしキックでホンダ陣内に入り試合を進めると、33分ゴール直前ラックの連続攻撃から18番ジェイコブ・エリソンがポスト左にとどめのトライをあげ、16-30と勝利をほぼ手中に収める。
この後もホンダは、福岡サニックスのキックにより自陣深くまで再三戻されるも、その度に攻撃を仕掛け意地を見せようとするが、強風のグラウンドにノーサイドホーンが鳴り響く。
福岡サニックスはTL昇格の切符を手に入れ、ホンダはNTTドコモレッドハリケーンズとの入れ替え戦に挑む。
● 記者会見ダイジェスト ●
Honda Heat
藤本知明ヘッドコーチ
「今日の試合はしっかりと準備して臨んだが、前半のペナルティーでレフリーに合わせられなかったのが最後まで響いた。まだ終わっていないので3週間しっかり立て直して入替戦にのぞみたい」
天野豪紀キャプテン
「今日はありがとうございます。今日の試合は立ち上がりから動きが硬く、そこからペナルティーが増えて後手にまわってしまったのがこの結果、もう少し前半から風上の優位性をいかして戦っていけばよかった。結果は変わらないので2月15日のNTTドコモ戦に向けて準備していきたい」
──前半は風上なのに相手陣に入れなかったのは?
天野キャプテン
「しっかり相手陣に入って行こうとしたが結果として入れなかった。サニックスさんのプレッシャーとコミュニケーション不足で上手くリズムに乗れなかった」
──今日のゲームプランは?
藤本ヘッドコーチ
「ポゼッションを上げたかった。相手はキックからのカウンターが上手いので、前半は風上で相手陣に入りたかったが、セットプレーが安定しなかった。セットプレーをベースにいいアタックができればもっとフェイズアップできたと思う。後半少し盛り返したところもあったが、風下でのポゼッションを上げたかったが、折り返しのアタックがうまくいかなかった」
──ドコモ戦はどのあたりに力をいれて準備していくのか?
藤本ヘッドコーチ
「アタックもディフェンスももちろん、ドコモさんのビデオを観てどのようなアタックをするかも含め検討していかなくてはならない。一つはディフェンスの課題であるスペーシング。今日はアタックでボールランナーが分かりやすかったりとか単調なところがあった。大きくは変えられないので今までやってきたことを3週間建て直していく。セットプレーは間違いなくキーになるのでしっかりやっていく」
福岡サニックスブルース
藤井雄一郎 部長兼監督
「今日は勝つか負けるかということで、序盤から硬くて、『もう1本取れたら』というところが続いたが最後に何とか逃げ切ることができた。今日がスタートという気持ちであと半年間しっかり準備してトップリーグを戦いたい」
永下安武キャプテン
「風が強く風下で、相手の大きいFWの強いプレッシャーに耐えられたのが後半につながった。この経験を生かして来季のトップリーグを戦う」
──この1年どういった強化をしてきたのか?
藤井部長兼監督
「ここ何年間はつぎはぎでやってきたが、今年は時間をかけてゼロからやり直して本当の基本スキルから積み重ねてきた。今日はFWで取ることができた。これは今までなかったことで、そこで負けていることが多かったので精度をあげることと、フィジカルな部分をしっかりやってきた」
──試合が終わったあとの喜びが控えめだったが?
永下キャプテン
「自分たちの中では喜んでいたつもりだが、普段からあまり弾けるほうじゃない」
──来季からトップリーグで戦うために鍛えるところは?
藤井部長兼監督
「今年は対戦相手が分かっていた(Honda、三菱重工相模原)ので負けてもポイントを取ることや、体が小さいので走って、というところに特化してやってきた。客観的にトップリーグを外から見ていて、どういう部分を強化してどこで勝っていくか、ブレイクダウンのところを高めて今までのスキルと融合させて勝てるチームをつくりたい」
──ランニングラグビーをめざしてきたということだが今日はそれをみせることができたか?
藤井部長兼監督
「もう一歩で取れるというところで取れなかったり、まだまだ決定力というところでは直さないといけないところはある。しかし新人も含めて新しい選手も入り、何とか勝てるチームになってきた。トップリーグ1試合と同じくらいをトップチャレンジで経験できたので、これを糧にやっていきたい。
──今年1年で大変だったことはあるか?
永下キャプテン
「大変だった印象はない。落ちた割にモチベーションは下がらなかった。トップリーグのようなタイトなゲームができなくてフラストレーションがたまったりもしたが、いい状態で皆がやってくれて辛くはなかった」
(記事:蜷川善夫、山林右二、北畑幸二 広報担当:村島博)
|