ヤマハ発動機 ジュビロ |
|
|
39 |
合計 |
19 |
13 |
前半 |
5 |
26 |
後半 |
14 |
5 |
勝点 |
0 |
14 |
総勝点 |
1 |
|
NEC グリーンロケッツ |
|
|
ヤマハの堀江恭佑選手
ヤマハ発動機ジュビロ 39-19 NECグリーンロケッツ
トップリーグ2015-2016 第3節 グループB
2015年11月28日(土)14:01キックオフ/静岡・エコパスタジアム(袋井)
ヤマハ3連勝でグループB首位を堅持。NECは3連敗で最下位脱出ならず
ラグビーワールドカップ2019日本大会の会場のひとつである静岡県エコパスタジアムで、14年振りとなるラグビーの試合が開催された。エコパスタジアムはヤマハのホームがある磐田市の隣、袋井市にあり、エディー・ジョーンズ前日本代表HCが代表チームの強化合宿に好んで使ったヤマハリゾートつま恋からも車で10分ほどの位置にある。先週のヤマハホーム初戦のチケットをあきらめたファンも快晴の中続々とエコパに詰めかけた。前試合のHonda HEAT対東芝戦を上回る13,000人を超える観衆が集まった中、開始のホイッスルが鳴った。
リーグ戦開幕から2連勝でグループB首位のヤマハと2連敗で最下位のNECの対戦は、ヤマハが優位にゲームを支配するものと予想していたが、必勝を期すNECは前節からFWを二枚入れ替えるとともに田村をSOに据え、ヤマハが想定していたようなキックでFWを前に押し出すゲームプランではなく、自陣からも積極的にテンポ良くBKにパス展開を図ったことから、前半はNECが優位にゲームを進める展開となった。
前半開始からNECの攻撃への戸惑いか動きが重いヤマハをNECが攻めヤマハ陣での攻防が続く。12分NECはゴール前10m中央のラックから右に展開してSO田村から一人飛ばしたパスを受けた右WTB後藤がトライして先制する。
その後のキックオフからのNECの攻撃を相手陣で止めたヤマハはラックから出たボールをNo.8堀江の素早い判断から拾って30m独走し、ゴール手前で捕まるも右に展開して最後はFB五郎丸が2人に掴まれながらもトップリーグでは約2年振りとなるトライをあげ、自らゴールも決めて7-5と逆転に成功する。
NECはブレイクダウンの寄せが良く早い球出しからSO田村が自在にBKラインを動かしてゲームを有利に進めるが、ヤマハは固いディフェンスを軸にNECによる反撃を抑え、逆に敵陣に攻め込んだ際に得たPKからFB五郎丸が手堅くPGを2本決め、ヤマハが13-5とリードして前半を終えた。
後半早々、NECはヤマハSO大田尾のキックを右LOロスがチャージし、ルーズボールをNo.8ヒギンボッサムが奪取し、そのままゴール真下にトライ。ゴールも成功して13-12と1点差に食い下がる。
しかし、ヤマハは9分左WTBハビリがライン参加してトライ。後半13分に交替した右WTB中園が22分にトライし、それぞれゴールも決めて27-12と突き放す。
NECもすぐに反撃して相手陣22mLラインアウトから左に回し、SO田村からSH茂野、そしてFB吉廣とパスをつなぎFB吉廣のゴロパントを追いかけた右CTB釜池が左隅にトライ。SO田村のゴールも決まり27-19と8点差に迫る。
その後ヤマハは相手陣での攻撃からHO日野がWTBばりの走力を見せて4つ目のトライを奪うとともに、ボーナスポイントを獲得して32-19とする。さらに、36分にはゴール前でのラインアウトからのモールを押し込んで左FLポトヒエッターがトライ。ゴールも決まり39-19として試合が終了した。
この得点の取り方は、前節でも2本トライを取っており、今季の得点パターンになりつつある。
NECは前半善戦したものの後半は自分達のゲームプランを継続できなかった。一方のヤマハは後半自らの強みであるFWの強さを発揮した。チームとしての勝ち方を体現できるヤマハと、未だ勝ち方を模索中のNECのチーム力の差が表れた結果となった。
しかしながら、NECが前半で見せた戦いぶりは、チームとしての勝ち方に光明を見出せた感があり、次節以降の巻き返しに期待を抱かせるものがあった。
ヤマハも新しい戦力が活躍し、チームの課題も洗い出すことができたと清宮監督が言うように、双方とも実りのあるゲームになったと思われる。
この日のマン・オブ・ザ・マッチは、自らのトライとともに確実にゴールとPGを成功させたヤマハFB五郎丸が受賞した。
(関西ラグビー協会広報委員 石垣俊幸)
(静岡県庁ラグビー部 瀬尾知繁)
ヤマハのシアレ・ピウタウ選手
● 記者会見ダイジェスト ●
NECグリーンロケッツ
相澤輝雄総監督
「エコパスタジアムで1万人を超える人に来ていただき、非常に嬉しく思います。去年の(日本選手権)チャンピオンのヤマハさんに挑みましたが、力及ばずこういう結果になってしまいました。3連敗という厳しい状況ですが、次節に向けて1週間頑張りたいと思います」
瀧澤直キャプテン
「このような環境で試合ができたことを嬉しく思います。内容は最後20点差になって負けてしまいましたが、強がりかもしれませんが20点の力の差はないと感じています。チーム、スタッフの献身もあるし、負けたことには原因があるが修正してまず1勝したいと思います」
──前半20分過ぎからPGを狙う場面が3回あったが、全てラインアウトの選択をしたのは?
瀧澤キャプテン
「難しい選択でしたが、第1節で成功して味をしめてしまったかもしれない。相手FWが良いので、前半早い段階でモールでトライを取っていたら残りの時間優位だし、手応えがあったという判断と3点より7点取れると思ったというところです。自信を持って選んだのでいい選択だと思っています」
──手応えとは?
瀧澤キャプテン
「今までの1節と2節でモールでトライを取れたり、チャンスを作れたことでラインアウトには自信を持っているし、取ったらモールで組めると思ったので。結果的に取れなかったのは良くないが、今でも手応えは感じます」
──先週からどんな修正をはかってこのゲームに臨んだのか?
瀧澤キャプテン
「先週、神戸製鋼と対戦し、ホームにもかかわらず点数が開いたのが悔しかったです。1対1の部分でディフェンスしても食い込まれ、アタックしても押し戻されるところがあったのでそこを一番に修正し、ペナルティの数が多いのを修正しようと1週間やってきました。1対1のコンタクトで食い込まれることは先週より修正できているのではないかと思うし、まとまってきたのは手ごたえを感じています」
──ラインブレイクがなかったのが苦しいのでは? 何か考えがあったのか?
相澤総監督
「うちのアタックの方向や考え方が先週までの試合では徹底できていませんでした。それぞれが自信を持ってやりきること、自分たちのやり方でチャンスがあったがやりきれていないところがあるので、最初から最後まで貫いていきたいと思います」
──先週からメンバーを変えた理由は?
相澤総監督
「田村はアタックもゲームコントロールもいい。接点の部分で神戸にやられたのでディフェンスのいい選手を揃えました」
ヤマハの日野剛志選手
ヤマハ発動機ジュビロ
清宮克幸監督
「まずはワールドカップ開催のスタジアムで初の公式戦をすることができて光栄です。芝生の状態も素晴らしく良かった印象があります。1万3000人のお客様が入ったが、これがヤマハスタジアムだったら満員だったかと思うとちょっと悔しい感じがしました。
試合内容はかなり想定外のNECさんの戦いぶりで、これまで見せなかったスタイルで臨まれて、前半はよく我慢してあの点差で折り返すことができたし、後半は相手の足も止まりノートライでいけました。収穫ある試合を重ねていくことがファイナルに向けて大事だと思っていますが、今日は多くの収穫があった試合だと思います」
三村勇飛丸キャプテン
「2019年のワールドカップの会場でプレーできて嬉しく思います。2連敗の相手が必死になって自陣から果敢にパスを回してきて、こちらがパニックになってうまくディフェンスできない時間が前半に多くありましたが、後半はセットプレーから圧力をかけてヤマハの形になり、ボーナスポイントも取れてよかったです。簡単に勝てる相手はどこにもないので次に向けてやっていきたいと思います」
──想定外と言っていたがゲームプランとしてはこの試合も4トライというプランか?
清宮監督
「我々はずっとそうです。前半キッキングゲームをしてFWを前に出してきて、ヤマハに対しFWで対抗するのに外国人をアタックに使わずにくるというイメージがありましたが、全く逆でした。ヤマハとしては4トライ取りにいくのは考えていたことです」
──収穫が多いとは?
清宮監督
「ダメな収穫という意味です。改善するポイントがあったほうがいいからです」
──西内選手のプレーぶりは?
清宮監督
「期待通りのプレーです。ここにきてラグビーができる喜びをかみしめているのでは。2年ぶりか3年ぶりの公式の試合で、パフォーマンスはもちろん、満足もしています。これから(ポジションが同じ)キャプテンとライバルになっていくので楽しみです(笑)」
──キャプテンから見てどうか?
三村キャプテン
「1年目とは思えないです。いい刺激を受けているので、ライバルとして一緒に頑張っていきたいと思います」
──前半が終わったあとから後半で、チームに変化は?
三村キャプテン
「1人目のロータックルと2人目のタックルとブレイクダウンを厳しくいこうと言いました。それは監督も選手も感じていたところです」
──エコパスタジアムの芝は素晴らしいということでしたが、プレー環境や周囲の様子について改善点はあるか?
清宮監督
「ポールは高いほうがいいです。直すなら早いほうがいいのでは。自分の感想ですが、可動席がもっと出ると思っていました」
──ピッチで実際やってみた芝の印象は?
三村キャプテン
「芝の根付きもよかったです。試合前にグラウンドチェックをしたときに国立競技場のようだと感じました」
清宮監督
「知事と対談したときに、2019年も世界基準でいくならハイブリッド芝生がいいとアドバイスしましたが、今日の芝の状態を知っていたら言ってなかったです。この状態なら4、5試合はできる素晴らしい芝だと思います」
──満席ではないが、たくさんの数の人が来てスタンドの雰囲気は?
三村キャプテン
「たくさん声も聞こえたし、このスタジアムが満員になったらすごいなと思いました」
NECの茂野海人選手
NECの田村優選手
NECの瀧澤直選手
マン・オブ・ザ・マッチはヤマハ発動機ジュビロ15番、五郎丸 歩選手
|